2018-04-01から1ヶ月間の記事一覧

御衣黄(ぎょいこう)はソメイヨシノに遅れて咲く桜であるが、その際立つ特徴は、花弁の色にある。御衣の黄、とは朝廷の貴族らが着るものに好んだ萌黄であり、花弁がその萌黄のような薄緑をしているからであるが、この桜を知った者は萌黄桜とも緑桜とも名づ…

『宇治拾遺物語』に「聖宝僧正(しやうぼうそうじやう)、一条大路渡る事」と題して次のような話が載っている。「昔、東大寺に、上座法師の、いみじくたのもしきありけり。つゆばかりも、人に物与ふることをせず、慳貪(けんどん)に罪深く見えければ、その…

まさをなる空よりしだれざくらかな 富安風生。桜の花開くこの時期に、この句のような光景はそこここで見ることが出来るであろうが、このように見たとしても、誰でもがこのように言葉に出来るわけではない。見たままを詠めとする写生俳句は、詠む者を試すよう…