2015-09-01から1ヶ月間の記事一覧
嵯峨広沢池(ひろさわのいけ)は遍照寺池とも呼ばれ、月の名所である。『都名所図会』は、抒情の墨にたっぷり浸した筆でこう記す。「いにしへの人は汀に影たえて月のみ澄める廣澤のいけ 源三位頼政。中秋の月見んと、都下の貴賤、池の汀に臨んでよもすがら盃…
山科毘沙門堂の障壁の浄土絵には、蓮池の上に迦陵頻伽が漂い舞っているのであるが、浄土に車で行って、その帰り道のガソリンが足りないかもしれないことに気がつく。迂闊であると思う。四方八方から人、事が入り混じり来る日常にあって、その全てに意識を保…
九月十二日、晴。三つの紫色を見た。九月十二日に意味はない。九月十日、大雨で鬼怒川堤防が決壊し、大洪水が起きて人家が流された。不明者は、いまも流されている。一九四十年九月十二日、フランス・ドルドーニュで四人の少年がラスコーの洞窟壁画を発見す…
大文字山の盆送り火の火床は、三百四十メートルの斜面にあり、立てば、京都市中を隅々まで見渡すことが出来る。洛中のどこからでも大文字の火を見ることが出来たという云いは、どこからでも見ることが出来る場所が選ばれたとする推測を裏付ける云いであり、…