2020-11-01から1ヶ月間の記事一覧

清少納言の『枕草子』には、世の中の気に入っているもの、気に入らないものが筆のおもむくままに記されている。例えば、「第百九十段 島は八十島。浮島。たはれ島。絵島。松が浦島。豊浦の島。籬(まがき)の島。第百九十一段 浜は、有度浜(うどはま)。長…

善良に公園の薔薇見て帰る 富安風生。一見、何やら飲み込みがたい思いのする句である。その理由は、「見て」に掛かる「善良」という言葉にあり、「善良に見る」という表現が、日常口にしないからかもしれない。先生が子どもを諭す時、善良になれ、不良になる…

東大路通の色褪せた屋根を連ねる今熊野商店街の間から泉涌寺(せんにゅうじ)に向かう道は泉涌寺道と呼ばれ、二百五十メートル余を緩やかに上ると総門に出る。総門からいまは緑の樹と石垣に両側を囲まれ、曲がりながらまたなだらかな上りが続く参道を上って…