2021-03-01から1ヶ月間の記事一覧

水上勉に「椿寺」と題する一文がある。「椿寺は京都の北区一条通西大路東入ルの地点にある。大将軍西町というのがいまの町名になっているが、天神川からわずか西へいった南側に小さな瓦屋根の門があり、石畳の参詣道からすぐ墓地につき当る手前右手に、こぶ…

糸桜こやかへるさの足もつれ 芭蕉。ゆき暮れて雨もる宿や糸桜 蕪村。影は滝空は花なり糸桜 千代女。糸桜下の方より咲きにけり 正岡子規。糸桜夜はみちのくの露深し 中村汀女。また風が鳴らす卒塔婆糸桜 皆川盤水。遠ざかるほど糸ざくら風の見え 阪上多恵子。…

「七人の遊仲間(あそびなかま)のそのひとり 水におぼれてながれけむ。 お芥子(けし)の頭(かみ)が水の面(も)に うきつしづみつみえかくれ。 「よくも死人をまねたり」と 白痴(ばか)の忠太は手をたたく。 水にもぐりて菱の実を とりにゆけるとおもひ…

平成二十一年(2009)、創刊九十年のキネマ旬報が撰んだ日本映画オールタイムベストテンの七位に山中貞雄が監督した『丹下左膳余話 百萬両の壺』が入っている。一位以下はこうである。一位、小津安二郎『東京物語』、二位、黒澤明『七人の侍』、三位、成…