2023-12-01から1ヶ月間の記事一覧

下駄買うて箪笥の上や年の暮 永井荷風。年のつまった花街祇園の日中も夜さえもその大方が海外からの旅行者でひっきりなしであるが。「祇園精舎の鐘のこゑ、諸行無常のひびきあり。沙羅双樹の花の色、盛者必衰のことわりをあらはす。」(『平家物語』巻第一)…

めつむりてひげそられをり十二月 西東三鬼。倉本聰のテレビドラマ『前略おふくろ様』の第2シリーズの第十四回で元安藤組の俳優安藤昇が理髪店で髭を剃ってもらう場面がある。萩原健一扮する板前片島三郎は前の料亭「分田上」から「川波」に移っている。その…

昌泰四年(901)、筑紫大宰府行きを命ぜられた菅原道真がこのような漢詩を詠んだ。「東行西行雲眇々 二月三月日遅々」トウコウサイコウクモビョウビョウ、キサラギヤヨヒヒチチタリ、あるいは雲眇々と東に行き西に行く、日遅々たり二月三月、とでも読むの…

この日の御室仁和寺。 「私達は、神について、また、永生について真面目に考察するとき、恐らくはいまは、ひとつの穏やかな微笑を口辺に浮べることができるのだろう。何故なら、いまはすでに、神についても永生についても大きな構図として遠望されるかたちが…

いわゆる西陣と呼び馴らわされている地域の、茶道総合資料館、裏千家今日庵、表千家不審菴などの一角を挟んだ東に大心院町という名の町がある。上京区新町通寺之内上ル三丁目の両側町である。町の名の謂(いわ)れは、この地に大心院という寺があったことに…