2024-01-01から1ヶ月間の記事一覧

一月二十五日の朝、京都も「雪化粧」するほどの雪が降った。蕪村に「宿かせと刀投出す雪吹哉(ふぶきかな)」という印象深い句があるが、芭蕉が詠んだ「雪」の句はどうであろう。「はつゆきや幸(さいはひ)庵にまかりある」待ちに待った初雪を己(おの)れ…

『大鏡』は「さいつころ(先だって)雲林院の菩提講にまうでて侍りしかば(聴聞に参った時)、例人(普通の人)よりはこよなう(格段に)年老い、うたてげなる(薄気味悪いような)おきな二人、おうなといきあひて、同じ所に居ぬめり(座が定まった)。「あ…

自由律俳句と称する句がある。五七五の定まった型を持たず、季題としての季語を使わない。その定型を持ち、季語を必ず句に含めるのが俳句であり、その俳句は発句(ほっく)として俳諧連歌から独立したものである。江戸の頃、五七五七七の和歌を複数の者で詠…

木洩れ日の素顔にあたり秋袷 桂信子。この句の季語は秋袷で、恐らくは夏の薄地から袷(あわせ)に着るものを替えたばかりの様子であろう。「素顔」の語には、「秋袷心すなほに生きのびて 池内たけし」や「つつましや秋の袷の膝頭 前田普羅」などの句も思い起…

北嵯峨四景。 「嵯峨は王朝貴族遊覧の地である。鎌倉中期、後嵯峨上皇が小倉山の東南、南に大堰川(下流が桂川)や嵐山を望む地に、亀山殿を造営した。上皇は出家後大覚寺に入り、ついでその子の亀山法皇もここに住いする。一四世紀はじめには、亀山の子後宇…

たとえばある時、経験のない自然の大異変が起こり、口に入れる食い物の量が半分に減る。この土地に住む二つの部族はどうするか。二つの部族はもとは一つの部族から二つに分かれたのであるが、それぞれの人の数に差はなく、どちらにも子どもがいて年寄りがい…