2022-02-01から1ヶ月間の記事一覧

南で梅の花が咲く梅小路公園の北の隅にスケートリンクがある。大きさは縦五十メートル横十四メートルとある、四方をフェンスで囲っただけの野外のリンクである。平日の寒風の吹く午後に誰も滑っている者がいないのは、まだ開く時刻の二時になっていないから…

猫の子にかがみて諭(さと)す京言葉 中戸川朝人。猫は年中子を産むが、俳句では「猫の子」は春の季語ということになっている。わざわざ「京言葉」と詠む作者は、恐らく京都の者ではなく、京都に生まれ育った者にとっては普段自分が使っている言葉以外はすべ…

結核に罹り昭和二十二年(1947)に三十三歳で亡くなる流行作家織田作之助がその前の年、京都日日新聞に「それでも私は行く」という奇妙な題の小説を連載している。その書き出しはこうである。「先斗町と書いて、ぽんと町と読むことは、京都に遊んだ人な…

「節分の翌日が立春で、大槪二月四日の年と五日の年と、二年づつ續けて來る。未だ中々寒いが、禪寺等では立春大吉の札が門に貼られどこやらに春が兆す。陰暦によつた昔は立春卽ち新年で、元日のことを今朝の春・今日の春などといつたものであるが、今ではさ…