2024-11-01から1ヶ月間の記事一覧
ゆきずりの顔一つ消え日短か 岸田稚魚。「ゆきずりの顔」とは、通りすがりの、あるいは短い言葉を交わしただけの相手のことであろうか。通りすがっただけの相手であれば、振り向いて見えるのはその後ろ姿だろう。その顔ではない。であれば、過去に些(いささ…
落つる葉は残らず落ちて昼の月 永井荷風。よく見れば昼の月あり凧(いかのぼり) 正岡子規。うそをついたやうな昼の月がある 尾崎放哉。ここからはバスに乗りましよ昼の月 たかはしすなお。月天心貧しき町を通りけり 蕪村。池暮て月に棹さす思あり 蕪村。ま…
御火焚や霜うつくしき京の町 蕪村。八日、伏見稲荷大社の一の鳥居から二の鳥居に続く参道の両側に「火焚祭」と記した幟が風にひらひら揺れている。鳥居が立つ奈良街道は外国からの観光客で溢れ、千本鳥居に向かう人の波もほぼ海外からの参拝客で、ナイロン製…
雑巾の道まつしぐら十一月 赤松ケイ子。新年を迎える十二月でもなく、一月二月の寒さのさ中でも春でも夏でもない十一月を雑巾がけの句にこの作者は選んだ。「まつしぐら」であるのは、学校の生徒か、禅寺の修行僧あるいは己(おの)れ自身の姿だろうか。一年…