2017-01-01から1ヶ月間の記事一覧

「嵯峨に遊びて、去来が落柿舎(らくししゃ)に至る」ではじまる芭蕉四十八歳、元禄四年(1691)の嵯峨滞在の記『嵯峨日記』に、小督局(こごうのつぼね)の遺跡を尋ねる件(くだり)がある。「松の尾の竹の中に小督屋敷といふ有り。すべて(※どれも)上…

季節は、言葉によって作られる。暦の上の一月二十日は、大寒である。探梅や枝のさきなる梅の花 高野素十。四条通の西の外れ、桂川の手前の梅宮大社(うめのみやたいしゃ)の境内の、早咲きの白梅が花をつけていた。鼻を近づけ冷たい空気と一緒にかぐと、紛れ…

「邸宅を一個の生物に例えるならば、玄関はその頭部に当り客が先ず入って来る所である。玄関の前庭は如何なる客が入って来ても無礼にならぬ程度の特に引き締った式正の格調を要求される所であった。貴人の玄関前の鋪道は正式には石を四盤、亀甲、網代、乱継…