2021-06-01から1ヶ月間の記事一覧

東山建仁寺の塔頭両足院の主な建物は、方丈とその北奥に並ぶ書院と二つの茶室である。白木屋の寄進によるという方丈の苔の生えた長方の前庭には二本の松と大振りの石が立ち、回った東には土盛りに幾つかの石が寄せられ、方丈の北東角にある簡素な門を抜けれ…

山梔子(くちなし)と知ることになる白い花 久乃代糸。たとえば、山梔子の花とは知らず白き花、と詠む時、「知らず」と云いながら「白き花」が山梔子であることを知っている。ある日、辺りに匂いを漂わせている白い花を目にしたが、その時はその花が山梔子で…

紫野大徳寺に天正寺と書いた額がある。この字を書いたのは、第百六代正親町天皇(おおぎまちてんのう)である。天皇が書いたものであるから、正式には勅額である。これを正親町天皇に書かせたのは、豊臣秀吉である。が、この天正寺という寺は、この世に存在…